キャプティブ通信 Vol.6

資産家の税逃れ防止〜保有10億円 所得ゼロでも報告義務〜

12月5日の日経新聞朝刊1面。

総資産が10億円以上ならば所得の大小にかかわらず保有資産の状況を提出するように義務付ける」とありました。

2022年度の税制改正大綱に明記する方針のようで、富裕層の税逃れが巧妙になっていることから、政府が把握できるように導入するものと思われます。

富裕層の資産把握の強化は日本だけではなく、世界的な潮流になってきています。パナマ文書を始め、昨今著名人や政治家の租税回避地(タックスヘイブン)を利用した税逃れの実態調査が強化されています。

キャプティブもその潮流を受け、各ドミサイルでの制度改定や日本側のCFC税制で合理的な税対策が限定的なものになりつつあります。しかし、制度の深い理解とキャプティブだけではなく、日本側とドミサイルの税制に深い知識があれば、まだまだ税メリットは享受できるものです。これは、長年の潮流を掴んでいるからこそ可能になります。

是非、税メリットを享受されたい方は一度ご相談いただければ幸いです。

今後も有益な情報をお届けして参りますので、キャプティブ研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

キャプティブ通信 Vol.5

設立地(ドミサイル)はどこが最適なのか?

今回は、よく頂くご質問の一つ、「設立地(ドミサイル)はどこが良いのか?」についてお伝えします。

結論、最近はハワイかマレーシアのラブアンの2つに絞ってご案内をしています。

理由は以下の通りです。

【ハワイ】

①ほとんど日本語でやりとり、対応ができる
②アクセスの良さ
③観光

やはり理由の一番は日本語でやりとりできるということです。そもそもあまり分からないキャプティブを英語などでやりとりをすると、コミュニケーションロスや認識の違いなどが発生しやすくなります。些細な事で致命的なミスも発生することもあります。その点、ハワイの場合は、キャプティブマネジャーをはじめ、銀行、弁護士、会計士、税理士、アクチュアリー等全て日本人(日本語が堪能な現地の人)が対応してくれます。また、銀行などは電話一つで振込作業なども指示できるため非常に安心できます。

2つ目の理由はアクセスの良さです。時差はあるものの、直行便で日本各地から行けます。また、フライト時間も10時間以上ではなく、長くても8時間程度ですし、夜出発すれば朝到着しています。そして、何より海やアクティビティ、買い物など、観光名所としての魅力もあります。総合的に考えてハワイは一番お勧めしたいドミサイルです。

一方、デメリットとしては、資本金が大きく求められることがあります。中堅、中小企業においては、負担が大きくなります。

【マレーシア ラブアン】

①資本金が少額
②税率が3%(条件クリア次第)
③融通が効く

2番目にお勧めするラブアンですが、理由の一番は資本金が少額ですむことです。規模感によりますが、ハワイと比べ1/10になることも珍しくありません。中堅、中小企業にとっては資金効率がハワイよりよくなります。

また、様々な条件をクリアするという前提ですが、キャプティブ収益に対して上限なく税率が3%になることも大きなメリットの一つです。ハワイも条件をクリアすれば230万USドルまで非課税というメリットがありますが、それを超えてしまう規模感であればラブアンの税制は魅力的です。また、キャプティブ誘致に積極的なこともあり、諸条件やキャプティブの運営についても融通が効くこともあります。

以上、2つのドミサイルを会社の状況に合わせて選択されると良いかと思います。それ以外の設立地も魅力的なところではありますが、研究所としてはハワイとラブアンをお勧めさせていただいております。

今後も有益な情報をお届けして参りますので、キャプティブ研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

キャプティブ通信 Vol.4

キャプティブで人気のある保険種目について

今回はキャプティブを導入される企業様に人気のある保険種目についてお伝えします。

日本の保険料水準は世界的に見ても極めて高く、同じ保険種目によって、保険料が1/5になる事も多々あります。また、日本の保険商品は補償内容がパッケージになっていることで、個々の企業に応じたリスクに備えられないケースもあります。

その中で、キャプティブを導入される企業様には、

①地震・津波リスク
②サイバーリスク
③個人情報漏洩リスク
④賠償責任リスク


の4点に対応する商品が比較的人気のある保険種目となります。

キャプティブの場合は頻繁に起きるリスクには不向きなため、頻繁に起きないが一度発生すると甚大な被害を被るリスクに向いています。また、リスクのカバーと同時に、キャプティブへの収益(再保険との価格差)率も非常に重要な判断ポイントとなります。収益率の高い種目は賠償責任系のものが多いです。

その点も踏まえて、キャプティブへ出再する保険種目を決めていただければと思います。

最近OECDの最低法人税率の話題や、自民党の高市政調会長による企業への内部留保金課税への言及でキャプティブへの設立問い合わせが増えております。そのため、各ドミサイル(設立国)のレギュレーションも一段上がるような流れが来るかと思います。設立される場合は早期検討、早期判断をお勧めしております。

今後も有益な情報をお届けして参りますので、キャプティブ研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

キャプティブ通信 Vol.3

キャプティブを検討するステージは売上いくらからか?

お盆を過ぎると時間の経過が早く感じます。いよいよ10月で、今年もあと3ヶ月です。緊急事態宣言が解除され飲食業界中心に活気が戻ってくることを期待しております。

さて、今回は「キャプティブを検討するステージは売上いくらからか?」ということについて考えていきたいと思います。実は、ご相談に来られた経営者からよくこのような質問をいただきます。どうしてもキャプティブは大企業やグローバルに展開する企業が使われるものと思われており、数千億、数百億の規模でなければメリットを出せないと認識をされている方が多いようです。

確かに、規模が大きくなると、その分リスク量が大きくなり、それに伴い保険料も高額になります。そのため、キャプティブを活用することでコストメリットは当然大きくなります。一方で、導入に際してはリスク量が大きく多岐に渡り、関係部署も多数絡むため、キャプティブを組成するアレンジメントは大変なものとなります。

そのため、ご相談にいらっしゃった方には、可能な限り小さく=早く始めた方が良いとお伝えしています。小さく始めて、関係する人が少ないうちに制度を作ることが後々良いという事です。

では、小さくとはいえ、一体どれぐらいの規模から始めるのか?という事ですが、業種にもよりますが、弊所の実績では売上20億の医療法人や10億の電気工事会社などの規模でもキャプティブを活用されています。

結論としては、売上10億からでも活用いただけるということになります。

前回のメルマガでお伝えした通り、OECDの世界的法人税の引き上げ基調により、適用除外業種となったキャプティブに改めて注目が集まっております。設立のレギュレーションやコストも高くなってきておりますので、ご検討される企業様は情報を取得して行かれた方が良いかと思います。

今後も有益な情報をお届けして参りますので、キャプティブ研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

キャプティブ通信 Vol.2

東京オリンピック、パラリンピックも閉幕しました。

賛否両論ある開催でしたが、選手が見せてくれた競技に対する情熱、そしてそれを支えてくれた全てのことに感謝する姿勢は、大変見応えある内容だったかと思います。パラリンピックの最終日、女子マラソンで金メダルを取得された道下選手が自分の首に金メダルを掛けるより先に、同伴走者の青木さんにメダルを掛けられようとした姿が大変印象的でした。

さて、今回のメルマガでは経済協力開発機構(以下OECD)が共通の法印税の最低税率を15%以上とすることで合意した件についてです。大企業に対し、事業展開している地域に関係なく「公平な税負担」を求めるというのが主旨の決定です。そこで、キャプティブに関わる税率はどうなるのか?以下お伝えしていきます。

そもそもですが、OECDは「Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構」の略で、本部はフランスのパリに置かれています。現在はEU加盟国を中心にアメリカやカナダ、オーストラリア、そして日本等38カ国が加盟をしている経済機構です。

また、OECDの最高機関であり、全ての加盟国が参加する閣僚理事会は年1回開催されています。同閣僚理事会には、G7参加国すべてが含まれていること、さらには時期的にもサミット1か月前に開催されることから、閣僚理事会における経済成長、多角的貿易等に関する議論はサミットにおける同分野の議論の方向性に大きな影響を与えています。

したがって対外経済交渉の観点からも、OECD閣僚会議はサミットの前哨戦として重要な会議と言えます。これまで我が国からは、経済産業大臣が外務大臣及び経済財政担当大臣とともに同閣僚会議に出席しています(経済産業省OECD紹介ページから引用)。

そのOECDが7月1日に開催した「新たな国際課税ルールに関する交渉会合」で国境を越えて活動する巨大IT企業などの税逃れを防ぐデジタル課税の導入と、法人税の最低税率を15%以上とする案を非加盟国を含む139カ国・地域に提示し、うち先進国や中国など130カ国・地域が大枠で合意しました。

2022年中に条約締結や各国で必要な国内法の改正作業を進め、23年の導入を目指すようです。実現すれば、多国籍企業の課税逃れと法人税率の引き下げ競争に歯止めをかける転換点となり、今後、今まで減税傾向にあった流れを止める決定になりそうです。

しかし、今回の決定で実は対象除外の業種というものが存在するのです。

対象外になった業種は、銀行・保険業、そして海運業等です。当然、キャプティブも保険業ですので対象除外になります。

今回ほとんどの業種で対象になっていることを踏まえると、銀行、保険業にとっては追い風になり、特にキャプティブの設立需要は高まってくることが予想されております。現に、発表後に設立依頼は増えてきております。中堅規模の上場企業でも適正なリスクマネジメントや保険のプログラム組成、それに付随する税メリットにどんどん積極的に取り組まれてきております。こういうものは先行してやった人が大きなメリットを得られる仕組み、制度かと思います。

一方で、設立需要が高まると、レギュレーションが厳しくなったり設立コストが高騰する傾向にあります。

迷われているのであれば、検討は早めにされることをお勧めいたします。

今後も有益な情報をお届けして参りますので、キャプティブ研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

キャプティブ通信 Vol.1

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さて、コロナ禍で始まった2021年、開催が危ぶまれたオリンピックも賛否があるものの、日本のメダルラッシュにムードも高まったなかで終了いたしました。沢山の感動的なシーンや手に汗握るシーンがありましたし、改めてスポーツの良さというものを実感いたしました。

一方で、4回目の緊急事態宣言の効果が疑問視されており、今後も更なる自粛ムードが継続される事でしょう。そんな中で、企業においては、リスク管理体制やリスクファイナンスについて見直されるケースが増えております。BCPの再策定、保険の見直しをお手伝いさせていただくことも増えてきております。

また、キャプティブ研究所への問い合わせも日に日に増えており、企業のリスクに対する感度の高まりを実感しております。

更に先日、経済協力開発機構(OECD)は、加盟国を含む130の国と地域が、共通の法人税の最低税率を15%以上とすることで合意したと発表しました。
大企業に対し、事業展開している地域に関係なく「公平な税負担」を求めるという主旨です。
しかし、お気づきの方はご存知ですが、この中に銀行、保険業(キャプティブ含む)は除外業種となっているのです。この事もキャプティブを活用される企業様に追い風になっております。

今後も有益な情報をお届けして参りますので、キャプティブ研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

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