What’s Captive

キャプティブとは

  • キャプティブとは何か?

「キャプティブ」とは?

一般的にキャプティブとは、「自社のリスクを専門的に引き受けるための保険子会社(ファイナンス会社)」の事を指します。英語でキャプティブ<captive>の意味は「捕われた、縛られた」という意味として使われており、親会社に従属する「捕虜」に由来すると言われています。

つまり、キャプティブとは、自社の専属的保険子会社を意味し、自社もしくは自社の属するグループ企業のリスクを専属的に引き受ける子会社(ファイナンス会社)を指します。

歴史は古く、1960年代から欧米では積極的に活用をされてきていますが、日本では導入している企業も世界的にみて少なく、まだまだ発展の余地を残している手法です。

昨今、世界的なコロナ禍で日本の保険会社によるコロナ関連の損失による補償の免責等で、改めて自社のリスクを見直す機運が高まっており、キャプティブにも非常に大きな注目を集めております。また、地震や津波、噴火などの激甚化する災害へのカバーとしても注目を集めております。

以前は、キャプティブ設立費用や維持費も莫大(毎年、数千万円の維持費が必要)でしたので、大企業でしかキャプティブを利用することができませんでした。

しかし、現在では中小企業者であっても低コストでキャプティブを利用できるようになっています。当研究所へご相談に来られる企業は、年商数億~数百億規模の中小企業です。地方企業の経営者様からのご相談が多くなっています。

なぜ、わざわざ自社や
グループ会社のリスクを
専門的に引き受ける
保険子会社を設立するのか?


これらを説明するためには、先ず現状多くの日本企業が導入をしている保険契約の形態を見ていく必要があります。

現状の損害保険契約、再保険とは?


日本企業の多くは、保険代理店を通して、或いは直接、保険契約を元受保険会社と契約し、リスクに対する補償をカバーしています。火災保険や損害賠償責任保険、自動車保険等、代表的な商品を購入し、リスクに備えています。

一方、保険会社は支払事由が起きた際に、約束した補償を契約通り支払う義務が生じます。少額な補償だけであれば問題ないのですが、高額な補償や、広範囲な災害による多額の補償が発生した際は、保険会社としての経営が危ぶまれます。保険会社は、広く保険契約者に万一に対する補償を提供するという社会的使命があるため、安定した経営を行う必要があります。そのため、多くの元受保険会社は、高額な保険金支払いを想定し、どの程度までの損害であれば経営に影響がないかを判断した上で、引き受けた保険契約の責任の一部、又は全部を他の保険会社に引き受けてもらう事があります。この「保険会社の保険会社」が「再保険」といいます。

通常、多くの企業は契約を元受保険会社とする事で完結しており、どの再保険会社と契約をしているかは分かりません。つまり、再保険料がいくらか等という事はわからずブラックボックス化してる現状があります。

再保険マーケットはイギリスのロンドンやニューヨークを中心に巨大なマーケットとなっており、日々世界中の保険会社から再保険契約を引き受けています。再保険会社として代表的な会社が、ロイズ保険組合、スイス・リー、ミュンヘン、ハノーバー、パークシャー・ハサウェイ等名だたる企業です。因みに、これだけ大きなマーケットに関わらず、日本では日本の保険会社が出資をして設立をしたトーア再保険1社しかなく独占状態となっております。
これは護送船団方式である日本の慣習と言われています。

通常の損害保険契約の問題点・課題点


通常の損害保険契約にはどのような問題点や課題点があるのでしょうか。

多様化するリスクに備えることができない

昨今、未曾有の災害が立て続けに起こり、リスクも極めて多様化しています。日本の保険契約は基本的に多くの企業に当てはまるようにパッケージ化されており、最低限リスクをカバーできるようにしかなっていません。つまり、企業が多様化している時流に合っておらず、何か事故が起きた際に、支払われない可能性が出てくるのです。或いは、リスクが引き受けられないと保険会社から断られるケースが数多く散見されます。

被害が激甚化する
感染症や地震、津波、
噴火等のリスクに
備えることができない

今回のコロナ禍で、通常の損害保険契約で、感染症による休業損害で企業を守ることができない事がはっきりしました。
いわゆる免責事項で保険金が支払われないということが露呈したのです。また、多くの中小企業においては、地震による建物倒壊リスクにも備えることができず、また地震による営業中断リスクに備えることはそれ以上に難しくなっております。
つまり、日本の保険会社ではリスクをカバーすることができないのです。

保険会社のコストが高く、
保険料は世界的に見ても高水準になっている

日本の損害保険会社は当然営利目的のため利益を出し続ける必要があります。
しかしながら、日本の保険は世界的に見ても保険料水準が高く、中では日本で支払う保険料と再保険の保険料に数倍の差が出る保険もあります。
しかも、先述の再保険会社には低い保険料で再保険契約を締結し、お客様である日本の企業には高額な保険料を請求する事で、大きな利益を日本の元受会社は得ているのです。
つまり、再保険会社に直接日本企業が契約をすることができれば、多くの企業はコストメリットを享受できるにも関わらず、日本の保険業法上できないという業界の法律に守られているのです。
これらのことは、保険会社からするとブラックボックス化したい内容であり、保険業界に限らず、どの業種でも仕入れ値を教えたくないというのが本音かと思います。

保険代理店、
損害保険会社担当者の
レベルが低い

本来、保険は「保険に入ることが目的でない」はずです。
しかし、高い販売ノルマや高額手数料競争にて、リスクマネジメント本来の姿から歪まれた販売手法になっている現状があります。
確かに、営利目的なので手数料を求めることは重要になります。
しかし、本来はリスクに対する備えで、自社では賄えないため外部の保険会社にリスクを移転するということがあるべき姿のはずです。それを自社のリスクを洗い出さず、また評価もせずにただ単に保険を販売する傾向にあることは否めません。
つまり、リスク評価の上で保険を勧める優秀な担当者であればいいのですが、そうではない担当者の場合、本当に有事の際に企業を守れなくなるリスクがあるのです。

キャプティブを設立する3つの理由


キャプティブを活用することで多くのメリットを得ること可能です。
ここではキャプティブを設立する代表的な3つのメリットをご紹介します。

世界の保険にアクセスできる(多様化するリスクをカバーすることができる)


キャプティブを設立すると、自社の再保険会社となってリスクの引き受けが可能になります。
つまり、元受会社は法律上日本国内で契約をするのですが、元受会社からキャプティブに再保険契約を締結する事で、キャプティブから世界の保険市場にアクセスができるようになるという事です。
そのため、元受保険会社では引き受けが難しいリスクや掛金が高額になるようなリスクをキャプティブや他の再保険で引き受けることにより保険内容の充実化が図れます。キャプティブを再保険市場へのハブとし、様々な世界の保険商品を選択していくことが可能になりリスクの多様化に備えることができます。

これらのことは、一方で、支払いに関してもキャプティブで支払うこともできれば、経済合理性を鑑みて、再保険会社への請求をしたりと、リスクマネジメントのコントロールタワーとしての役割を担うことも可能となります。

コストメリット


キャプティブを設立することにより、先程の再保険市場と日本の保険市場との価格差が所謂コストメリットとなります。
例えば、今まで元受保険会社に100支払っていた契約が、キャプティブを設立する事で、キャプティブに再保険料として50出してもらう(出再「しゅっさい」といいます。)と、今までは100が何もなければコストだったものが、キャプティブに50の収益が生まれることになります。つまり今までとコストが半分になるという事です。
その他のメリット・デメリットに関してはこちらでご紹介しております。

キャプティブのメリットはこちら〉〉
キャプティブのデメリットはこちら〉〉

経済効果(収益性)やコントロール領域の拡大、優遇税制の活用


先程の世界と日本との保険料差による収益もそうですが、事故時の支払いに関しても、支払い有無を含めて判断を自社でできるようになります。
これは保険会社に請求する方が得なのか、それとも自社のキャプティブで支払ってしまう方が得なのか、選択することができます。
つまり、キャプティブで引き受けるリスクや再保険会社へ移転しているリスクなど、バランスを取ることで、事故時の経済被害を最小限にしたり、翌年度以降の再保険料の交渉など、自社でコントロールする事が可能となります。

また、キャプティブの設立国を税優遇する国にする事でタックスメリットを享受することも可能です。
当然タックスヘイブン対策税制を遵守しながらですが、様々な手法により税効果を最大化する方法も構築されております。

なぜ設立地は日本ではないのか?

設立地は日本でなく、キャプティブの制度や税制が整備されている国を選択します。
例えば、有名な設立国はバミューダ、ケイマン、バーモント州等がありますが、昨今ではハワイやマレーシアのラブアン、ミクロネシア等に設立をされる日本企業が多くなっております。

なぜ、日本でなく他国にて設立をするのか理由があります。 日本の保険業法では、「外国所在の保険会社が日本企業のリスクを直接引き受ける事が認められていない(保険業法186条)」からです。そのため、日本国内で認可を受けた保険会社(元請保険会社)へ日本国内で保険契約を引き受けてもらい、元請保険会社から子会社であるキャプティブへリスク移転を行います。

私たちは適切な情報・事例を用いてご説明します

当研究所は、キャプティブの活用方法の研究を日夜繰り返し、企業が抱える課題を解決するためのスキームを研究しています。

当研究所では、既存の保険商品だと解決できない企業を取り巻く課題の多くを解決することができるキャプティブの仕組みを研究者が事例を用いてわかりやすくご回答いたします。

「本当にキャプティブにメリットがあるのか?」「キャプティブは、いくらからメリットがあるのか?」「導入フローはどうしたらいいのか?」「キャプティブにはどんな種類があるのか?」などの仕組みや使い方から「現在のキャプティブの運営にメリットが本当にあるのか?第三者の意見を聞いてみたい」などのセカンドオピニオンとしてもご相談を受付けております。

20214月までに延べ90社を超える企業や医療法人にキャプティブによる資産構築モデルを提供してきた当研究所の研究者にご相談下さい。

            参照:IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)
            (https://www.irs.gov/
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