What’s Captive
キャプティブとは
キャプティブの仕組み
(A)一般的な保険:通常の保険契約は、保険代理店を通じて、日本で認可を受けた保険会社で締結します
(B)キャプティブ設立:事業会社に関わるリスクを専属的に引き受ける再保険子会社として、事業会社の出資により設立します
(C)リスク引き受け:再保険の仕組みを利用して日本の元受保険会社からキャプティブへリスク移転をします
(D)再々保険手配:キャプティブの保有限度を超えるリスクに関しては、再々保険会社へリスクを移転します
(E)利益の活用:キャプティブに残る収益を配当金として親会社へ還元することにより、親会社への還元を図ります。また、キャプティブ内に留保し、キャプティブの体力を高めて、再々保険の価格交渉や引き受け能力の増強を図ります。
キャプティブ研究所では、この再保険の仕組みを活用した資産防衛の仕組みのことを、GIP(グローバル・インシュアランス・プログラム)と呼んでいます。
キャプティブを具体的にするためにはどうするのか?
キャプティブを検討するにあたり、どのようなスキームですればいいのかは企業ごとに違ってきます。 先ずは、キャプティブありきではなく、現在の事業の中でリスクを洗い出し、日本国内ではカバーできず、且つコストが高いものを優先的に検討していく必要があります。
そのためキャプティブ研究所では、ご検討いただいている企業様のリスク分析からスタートするケースが多くございます。先ずはリスクを可視化、評価し、その上で保険やキャプティブを検討するという流れになります。
また、資産保全としてのキャプティブスキームをご検討の際は、目的によりスキームがリスクカバーのキャプティブと手法が変わってきますので、個別でご相談をいただければ幸いです。
日本における元受保険会社の
キャプティブに対する現状
日本では海外の保険会社との直接取引が禁止されているため、どうしても日本の保険会社にリスクを引き受けてもらう必要があります。そのため、一部の外資系保険会社を除いては、キャプティブに際して保険会社の協力を得ることが難しいという事情がありました。
しかし、昨今キャプティブに対する日本の保険会社での理解も進み、またインターネットなどで情報が取得できる環境が整った事で協力を得やすくなってきております。今後は日本でも欧米並みのキャプティブ活用が期待されておりますが、日本の保険会社の中には利益を求めるあまり、積極的ではない面もあります。これらの元受保険会社や再保険会社との交渉や綿密なやりとりが必要になりますので、キャプティブマネジャーの選定は非常に重要な要素となります。キャプティブマネジャー選びがキャプティブ活用の全てを決めると言っても過言ではないぐらい重要なことになります。
世界ではどのぐらいの
キャプティブが
運営されているのか?
キャプティブの起源の最も古くは、1800年代後半にまでさかのぼることができ、1926年にロンドンで出版された初期の保険史に関する書物の中に登場しています。その後、1950年代には100社程度が設立され、1970年代後半に1000社を超え、1980年代後半に2000社、1996年末のキャプティブ設立数は3795社であり、親会社の国籍別では、アメリカが1922社と圧倒的な数を誇っていました。以下、イギリス、カナダ、スウェーデンと続き、フランス、オーストラリア、オランダ、日本が第二集団を形成していました。
その後、2001年末には4,002社、2011年末には5,745社、2018年現在世界で約6,500社のキャプティブが運営されています。この約6500社の中にセルキャプティブと呼ばれる分離勘定型の親子会社のようなキャプティブは除かれているので、セルキャプティブも入れると総数は10,000社を超えています。近年世界では増え過ぎたキャプティブをM&Aで整理するぐらいです。
キャプティブを持っている
日本企業は?
キャプティブを持っている日本企業は約200社といわれています。
有名な大企業がキャプティブを取り入れており、会社によっては本業と引けを取らないぐらいに莫大な利益を上げている企業もあるといわれています。日本企業の場合、長期的に安定したキャプティブを運営するために、国家としての安定性も重要になることから、アメリカのハワイ州に設立するケースが多いです。
キャプティブを取り入れている
大企業の一例
アルプス電気、アイシン・リインシュアランス・アメリカ株式会社、出光興産、伊藤忠商事、エプソン、大阪商船、オリックス、花王、近畿日本ツーリスト、コスモ石油、サンスター、サントリー、シチズン、ジャパンエナジー、商工ファンド スバル、住友商事、全日空、損保ジャパン日本興亜、武富士、東急観光、東京海上、東京電力、トヨタ自動車、日産自動車米国、日商岩井、日新海上火災、ニッセイ同和損害保険、日本航空、日本石油、日本郵船、日本旅行、日立製作所、ブリヂストン、丸紅、三井住友海上、三井物産、三菱商事、ヤマハ発動機、横河電機など。
日本の中小企業では?
以前は、設立費用がかかり、維持費も莫大(毎年、数千万円の維持費が必要)でしたので、上記のような大企業でしかキャプティブを利用することができませんでした。 しかし、現在では中小企業であっても低コストでキャプティブを利用できるようになっています。
それは、既にキャプティブとして運営している会社に依頼し、一部の機能を貸してもらうという「レンタキャプティブ」「セルキャプティブ」等の利活用が可能になったからです。こうしたレンタキャプティブ等を専門に取り扱っている設立専門会社に依頼し、キャプティブを貸してもらう手法を活用する事で、初期費用を抑制し維持費を抑えながらも、一般的なキャプティブを運営するのと同程度のメリットを得られるようになります。
これであれば、さらに低い金額でキャプティブを運営できるようになります。そのため、中小企業でも、ある程度の利益が出ている会社であったり、保険料支払いの額が多かったりする会社であれば、積極的に活用するべきと思います。
また、中小企業の場合は、リスクマネジメントとしての機能もそうですが、資産防衛としての機能を求められるケースが非常に増えてきております。日本における高額納税の実情を踏まえ、資産をどう守り繋げていくのかは、大きなリスクとなってきております。
そのため、キャプティブ研究所では、資産防衛に特化したキャプティブ組成の研究に取り組んでおります。また、その一環として法人保険の解約返戻金の益金対策やオペレーションリースの満期出口対策等としてキャプティブを活用されている実績もございます。
医療法人でのキャプティブ活用
医療法人でのキャプティブ活用事例も増えてきております。
今回のコロナ禍で更に注目を集めております。また、中規模以上の医療法人の場合、通常の保険料支払いも多いことや、相続、事業承継対策も極めて多額の納税が発生するためキャプティブの活用を積極的にされるケースが増えてきております。