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2021.09.06

キャプティブ通信Vol.2

東京オリンピック、パラリンピックも閉幕しました。

賛否両論ある開催でしたが、選手が見せてくれた競技に対する情熱、そしてそれを支えてくれた全てのことに感謝する姿勢は、大変見応えある内容だったかと思います。パラリンピックの最終日、女子マラソンで金メダルを取得された道下選手が自分の首に金メダルを掛けるより先に、同伴走者の青木さんにメダルを掛けられようとした姿が大変印象的でした。

さて、今回のメルマガでは経済協力開発機構(以下OECD)が共通の法印税の最低税率を15%以上とすることで合意した件についてです。大企業に対し、事業展開している地域に関係なく「公平な税負担」を求めるというのが主旨の決定です。そこで、キャプティブに関わる税率はどうなるのか?以下お伝えしていきます。

そもそもですが、OECDは「Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構」の略で、本部はフランスのパリに置かれています。現在はEU加盟国を中心にアメリカやカナダ、オーストラリア、そして日本等38カ国が加盟をしている経済機構です。

また、OECDの最高機関であり、全ての加盟国が参加する閣僚理事会は年1回開催されています。同閣僚理事会には、G7参加国すべてが含まれていること、さらには時期的にもサミット1か月前に開催されることから、閣僚理事会における経済成長、多角的貿易等に関する議論はサミットにおける同分野の議論の方向性に大きな影響を与えています。

したがって対外経済交渉の観点からも、OECD閣僚会議はサミットの前哨戦として重要な会議と言えます。これまで我が国からは、経済産業大臣が外務大臣及び経済財政担当大臣とともに同閣僚会議に出席しています(経済産業省OECD紹介ページから引用)。

そのOECDが7月1日に開催した「新たな国際課税ルールに関する交渉会合」で国境を越えて活動する巨大IT企業などの税逃れを防ぐデジタル課税の導入と、法人税の最低税率を15%以上とする案を非加盟国を含む139カ国・地域に提示し、うち先進国や中国など130カ国・地域が大枠で合意しました。

2022年中に条約締結や各国で必要な国内法の改正作業を進め、23年の導入を目指すようです。実現すれば、多国籍企業の課税逃れと法人税率の引き下げ競争に歯止めをかける転換点となり、今後、今まで減税傾向にあった流れを止める決定になりそうです。

しかし、今回の決定で実は対象除外の業種というものが存在するのです。

対象外になった業種は、銀行・保険業、そして海運業等です。当然、キャプティブも保険業ですので対象除外になります。

今回ほとんどの業種で対象になっていることを踏まえると、銀行、保険業にとっては追い風になり、特にキャプティブの設立需要は高まってくることが予想されております。現に、発表後に設立依頼は増えてきております。中堅規模の上場企業でも適正なリスクマネジメントや保険のプログラム組成、それに付随する税メリットにどんどん積極的に取り組まれてきております。こういうものは先行してやった人が大きなメリットを得られる仕組み、制度かと思います。

一方で、設立需要が高まると、レギュレーションが厳しくなったり設立コストが高騰する傾向にあります。

迷われているのであれば、検討は早めにされることをお勧めいたします。

今後も有益な情報をお届けして参りますので、キャプティブ研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

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